ライス国務長官

今日の60Minutesでライス国務長官のインタビューを取り上げていた。
インタビューは彼女が8歳の頃に、白人優越主義者によるテロで友人を失った体験談から始まる。
大量破壊兵器を理由にイラクに攻め入り、結果的に国民を騙したことについてどう思うかと聞かれると、
「私たちはその時点で考えうる最善の努力をした。そのことについて後悔も反省もない。」
また、アメリカが民主主義を他国に広めることについて、
アメリカは民主主義を“広めて”いるのではなく、発言力のない民衆の代弁者となり力となって、彼らの望みを叶えているだけだ」と言う。
しかし、それまで少数派が権力を握っていた国が、外的圧力から多数決で全てを決める民主主義を無理に押し付けられ、結果的に犠牲者が増えることを、アメリカ屈指の戦略家と呼ばれるライス国務長官が予想できなかったとは考えにくい。
長い間非公開だった、9・11の飛行機の乗客の声が録音されたテープが、ブッシュの人気が下がってきたタイミングを見計らうように公開されたのも、ライス長官の助言だろうか。
幼少の頃に友人を失ったことや、人種差別と常に戦ってきた両親を見て育った経験を顔色一つ変えずに話すライスにとって、それらはアメリカが民主主義を広める正統性を聴衆にアピールするツールでしかないのだろう。 少なくとも人種差別に敏感なら、多くが黒人だったカトリーナの犠牲者を何日間も放っておいたブッシュに最も近い片腕として、より早い救済策の一つや二つ助言できたはずだ。
彼女はよく、「成功するには人の二倍努力しなければいけない」と語っていたという。20歳で修士を得るような努力家で優秀な人だからこそ、彼女の向いている方角に多くの犠牲があることを残念に思う。
ライス長官はアメリカという国を動かす力があり、アメリカは世界で最も影響力を持つ国のひとつである。
彼女が重要性を訴える民主主義の下にいる私たちが、自分たちの一票で国の、或いは世界の進む方向が変わることを意識しなければいけないと考えさせられた。