バスが来ない

雨の中、一人待ちくたびれる

空はスプリンクラーを撒いた後の朝のよう

タイヤが水しぶきをあげ、怖い顔で自己主張しながら通り過ぎていく

メタリックな車体は雨と白い光を受けて、普段より光沢を増している


白い文字盤に赤い文字でBUS STOPと書いてある、控えめな文字版の下

垂直に刺し降りてくる水の玉をはじきながら、一人バス亭で待つ


予定ではあと少しでバスが来る

バスの来る方を見ていると、後ろから自転車が近づく音がして

振り返った瞬間に通り過ぎていく